記事: 2025年2月:加藤尊也 作陶40周年記念展
2025年2月:加藤尊也 作陶40周年記念展
~500年前に生まれた「幻の器」 瀬戸黒・志野の美を今に伝える~
- 会期:2025年2月19日(水)→ 23日(日)
- 会場:大阪タカシマヤ 6階 美術画廊
志野 瀬戸黒
約500年前、岐阜県美濃地方でわずか30年間だけ作られた「志野」と「瀬戸黒」。
その独特な美しさは、日本の美意識「侘び寂び」を象徴し、茶の湯の世界で特別な価値を持ちました。
作陶40周年を迎える陶芸家・加藤尊也先生は、自然の恵みと窯の炎に向き合い、この器を現代に甦らせます。
*本展では、一部の作品に「銘」をつけ、それぞれの器に込めた想いや風景を表現しています。
作品紹介(一部抜粋)
志野壺
焔韻(En’in / Flame Resonance)
窯の中で燃え盛る炎をそのまま閉じ込めたかのような志野壺。鮮やかに発色した火色が、壺全体に生命感あふれる力強さを与えています。表面に浮かぶ乳白色は、炎の余韻だけが柔らかに漂っているよう。
志野茶盌
冬暁(Tōgyō / Winter Dawn)
冬の夜明けを思わせる作品。淡いピンクの釉薬がまるで冬の空が朝日に染まる瞬間を切り取ったかのような美しさを湛えています。柔らかな曲線と繊細な陰影が、雪景色を思わせる雰囲気を醸し出し、手にした瞬間から心を包み込む温かみを感じられます。
瀬戸黒茶盌
墨華(Bokka / Ink Blossom)
深い黒釉(鬼板)に浮かぶかいらぎが、まるで墨が紙にじわりと広がるように器の表情を描き出しています。この独特な質感は、釉薬の調合、窯の温度、引き出しのタイミングがすべて合わないと出てこない。「自然」と「作家の手」が織りなす、瀬戸黒ならではの奥深さを感じさせる作品です。
特別企画:「夫婦の時間セット」
忙しい毎日の中、パートナーとゆっくり過ごすひとときを大切にしてほしい。
その想いを込めた特別なペア作品「夫婦の時間セット」を、本展限定でご用意しました。
限定各3~4セット(10%~20%引き)
・夫婦の時間に寄り添う特別なペア作品。
・展示されている作品限りのご提供となります
作家からのメッセージ
志野や瀬戸黒の温もりと柔らかさ。 その秘密は、岐阜県東濃地方で採れる希少な土、百草土にあります。
花崗岩に雨水が流れ込み、何万年もの時をかけて、自然の力がゆっくりと働きながら、土壌の中でさまざまな変化を重ねて生まれました。
粒子の粗さと独特の質感を持つ、自然が作り上げた『贈り物』です。
工芸品は「用の美」と言われますが、その良さは、実際に触れ、使うことで少しずつ心に響いてくるものだと感じています。志野や瀬戸黒の器を通して、百草土がもたらす美しさや温もりを、ぜひ手に取って感じていただければ幸いです。
心を落ち着けたい時、不安な時、器とともに過ごすひとときが、皆様の日々に静かな豊かさをもたらしますよう、想いを込めて作っています。