日本の器を知る

茶人は一服を、二度と繰り返せないことのように点てる。事実、繰り返せないからだ。山上宗二から井伊直弼へ受け継がれた一期一会の言葉と、その一瞬を両手に抱く一碗の器——二度と作れない器が、二度と来ない時間の器になる。加藤尊也の言葉とともに。
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たいていのやきものは、ゆっくりと冷めていく。瀬戸黒は、最も熱い一瞬に火から引き出され、数秒で冷まされる。その黒は、塗られたものではなく、捕らえられたものだ——引出黒の技と、利休が愛した黒、そして志野との対をなす白と黒。加藤尊也の言葉とともに。
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優れた茶碗には、銘という固有の名がある。桐の共箱と箱書きは、器の身元と、たどってきた来歴を語る。書付箱と極箱の違いから、共箱と真贋の関わりまで——箱が語るものを、静かに読み解く。
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侘び寂びは「不完全の美」ではない。村田珠光が語ったという雲間の月から、志野の火色、瀬戸黒の一瞬まで——ひとつの茶碗に宿る、その本当の意味を静かに解きほぐす。
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茶人が、心を惹かれた茶碗を手に取る。そのとき最初にすることは、たいてい同じだ——器を、そっと裏返す。高台・口造り・見込み・重さ・景色。五つの見どころを、静かに手ほどきする。
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