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職人

加藤 尊也 / Kato Takaya

500年の孤独
Lost 500 years

わずか30年間しか作られなかった
幻の伝統工芸

陶芸家、加藤尊也は500年以上前に全盛期だった茶の世界でわずか30年間しか作られなかった幻の器の魅力に取り憑かれ、40年以上、器(うつわ)を作り続けてきました。幻の器、“瀬戸黒”と“志野”は、侘び・寂びの日本独自の美意識の中で独自の価値観を持つ和の器と言われています。この“瀬戸黒”と“志野”の窯焼き工程は非常に難しく、「一窯から一つ」 納得のいく色、作品ができれば良し、とされるほどです。だからこそ完成された器からは日本の厳しい自然を表現したような美しさや力強さが生まれます。

瀬戸黒と志野の原料となる百草(もぐさ)土は、希少土として手に入れづらく、やがて幻の器となる運命

美濃地方で採れる土は、世界でも稀な土(粘土)と言われています。
土は、何万年にも渡り、火山活動や雨によりその性質を変化させます。山に囲まれた自然の地形がこの地域特有の特殊な土を作り出しました。この地域に堆積した土、俗にいう百草(もぐさ)土は、少量の鉄分を含み、急冷に耐えることができる。これが瀬 戸 黒の吸い込まれるような漆 黒を生み、志野の象徴である美しい火色を浮かび上がらせます。百草土は、粗く、細かい空気を多く含んでおり、焼き上がり後も、手に馴染む温かさと柔らかさを感じられます。
「尊Son」のものづくりは、答えを求めない。
自然に身を委ね無常を尽くし、尊ぶ。

行雲流水(こううんりゅうすい)

日本の美しい四季や自然の変化を感じ取り、自身の中で消化し、スケッチを行いながら形に落とし込みます。
スケッチはいつも一発勝負。
部分的に形や色合いを7日間ほどかけて入念に考え、最後は直しなし。
筆で全体のイメージをデザインする。
一部作品では、500年前に実際に使われていた「手まわしろくろ」を再現し、これを使っている。
電動ろくろとは異なり、回転速度が一定ではなく、自然な土の伸びから成るゆるやかな時間の流れを表現できる。
変化する季節がもたらす自然の恵みを楽しむことは、今も昔も変わりません。
山、月、海、風、川、季節の移り変わり。
器を使うとき、そういったことを感じられるよう、少しでも心が豊かになれるよう、常に意識をして作陶に臨んでいます。

百年工房

100年以上続く尊の工房は、美濃焼で有名な岐阜県多治見市で生まれました。
陶器のまちと呼ばれている多治見には多くの窯焼き場があり、伝統と革新の歴史を受け継いでいる。
尊では、先代から引き継いだ100年前の「手まわしろくろ」を修復して今も使っています。

陶歴

1960
岐阜県多治見市生まれ
1984
武蔵野美術大学 卒業
朝日陶芸展 入選 以後数回
岐阜県美術展 県展賞
中日国際陶芸展 入選
1985
朝日クラフト展 入選 以後数回
1986
現代陶芸八木一夫賞 入選 以後数回
小名田尼ヶ根古窯保存運動を展開
1987
日本陶芸展 入選 以後数回
1989
陶芸ビエンナーレ 入選 以後数回
1991
美濃陶芸展 奨励賞 以後数回
1993
日本伝統工芸展 入選 以後数回
国際陶磁器展 美濃 入選 以後数回
1994
東海伝統工芸展 以後数回
1997
東海の陶芸展(名古屋国際会議場)出品
1999
重要無形文化財保持者 加藤孝造先生の
風塾にて(瀬戸黒)指導を受ける。
2002
(社)日本工芸会正会員に認定
2004
ミノ・セラミックス・ナウ 2004
(岐阜県現代陶芸美術館)出展
2005
重要無形文化財保持者 鈴木藏先生より
伝承者養成研修会にて(志野)指導を
受ける
2012
岐阜県伝統文化継承功績者顕彰(志野)
2018
美濃茶盌展 銅賞
現代茶陶展 入選 以後数回
2020
美濃茶盌展 奨励賞
2022
第39回卓男賞受賞

現在

  • (公社) 日本工芸会正会員
  • (公社) 美濃陶芸協会 常任理事
  • 伝統工芸士

展示・賞歴

岐阜県美術展 県展賞
朝日陶芸展 入選 5回
中日国際陶芸展 入選
日本陶芸展 入選 2回
陶芸ビエンナーレ 入選 2回
美濃陶芸展 奨励賞 3回
東海伝統工芸展 10回
日本伝統工芸展 4回
国際陶芸展 美濃 入選 3回

加藤尊也の作品

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メッセージ

工芸品は“用の美” と言われています。
日々の生活で使うことを目的としている工芸品ですが、
洗練された尊の器は芸術品 (アート)とも言われています。
尊では、Craft Art、「使う、 アート」をベースとしており、
使うことで更にその良さが分かる品になっています。
尊の器は人により、 感じ方が異なります。
心を落ち着かせたい時、不安な時、 是非、尊の器で一服してみてください。
少しでも心が豊かになるように気持ちを込めて作っております。
「Son」Craft Artist
Kato Takaya
加藤尊也